提出書類のヒント集です。ここからは1ページが長いですから、読み物としてのんびり読んでください。
若人よ、大志をいだけ!
提出書類のヒント集です。
将来の夢
特別選抜入試を希望している学生に指導しているとき、必ず話題になります。「君の夢は何?」
「わかりません。」
将来、何をやりたいのか見つかっていない受験生がほとんどです。そんな時、逆に聞かれたりします。
「先生の夢はなんですか?」
それに答えます。
「私の夢は、マンション(部屋)を五つ買って、その部屋全てに愛人を住まわせて、月曜愛人から金曜愛人宅まで毎日通い、本妻とは土日に過ごす。これが夢だ。」
…と。
すると、例外なくその受験生は笑います。
何で?夢じゃん?
…夢じゃない。
…そう。これは『高校生活』の中で説明している『快』にあたります。
つまり、『欲望』にすぎない、私個人の欲です。
よく社長になって金持ちになって…、こんな夢を語る受験生がいます。しかし、これだってタダの欲望、私の愛人の夢と何が違うのでしょうか?
そう。
大学へ進学する志望理由、将来の夢をたんなる欲望で表そうとする受験生がいますが、そんな一個人の欲望なんぞ、誰が興味をもつ?
現在は消費社会であって、これは欲望の社会であって、企業は消費者の欲求をあおって消費させようとします。金を使うことで欲望を満たすように仕向けます。
その結果、目先の欲求ばかりに気をとられる人間ができあがります。
目先の欲望を満たすためにのみ行動、いや、反応する人間のできあがりです。
自分がない、動物的本能で生きてしまう人間です。そんな人間に自分の将来など見つかるわけがありません。一生、目先の利益を貪って行くしかないでしょう。目先の欲望を満たすため小銭を稼ぎ、それを使い、気がついたときには人生の半分を浪費しているでしょう。
そう。
自分のやりたいことが見つからない受験生っていうのは、結局のところ、これら消費社会の犠牲者に過ぎないのです。それが行きすぎて、金を使わなければ感動や刺激を受けられなくなってしまっているのです。だから、金が無い時、死んだ目をしています。つまらない時間を潰しています。また手元に金がなく、欲望を満たすことができずにイライラしています。
夢とは、ある日突然生まれるものではありません。
ある日、心の中に小さな灯が灯ります。
その心に灯った小さな灯を育てて行くものなのです。
しかし、目先の欲望に呑まれてしまえばいつのまにかそんな灯は消えてしまいます。他でインターネットの話を書きましたが、目先の欲求に惑わされて自分を見失ってしまうのです。受験生たちが、自分のやりたいことが見つからないと嘆くのが、これなのです。
今の世の中は金さえ使えば、刺激を受けることができます。しかし、そんな外側からの刺激ばかりを求めた結果、自分から刺激を見つける能力がなくなってしまいます。金を使って刺激ばかり受けているから感情が無くなってしまうのです。
学校というところは、何もしなくても感動や刺激をもらえるようなところとは言いがたいでしょう。だから、つまらないのです。感動も刺激も自分から見つけなければならないのです。
大学だって同じです。ディズニーランドのような場所は、金さえ使えば、何もしなくても感動や刺激をくれます。だから楽しいのです。けど、学校のようなところは、何も刺激をくれません。自分からアプローチして行かなければ何の感動もありません。金を使いその代価をもらうことに慣れてしまった人間に、自分の将来などどうやって見つけられるでしょうか?
国費で留学して来たタイ人留学生の例を見てみましょう。
タイの田舎の純朴な青少年たち。地元の期待を一身に受け、国費で日本へ留学してきました。貧しい彼らの故郷を少しでも豊かにすべく、夢を抱いて日本へ来ました。
ところが、日本は激しい消費社会の国です。周りには誘惑ばかりが満ちています。そのため、彼らが生活費(国費)を手にしてしまうと、ついつい誘惑に負け、要らないものまで買ってしまいます。故郷では食うや食わずの生活をしている人々がいるのです。コンビニのレジの前に置いてある大福1つの値段で、一家族の食事代が賄えることなんて完全に忘れてしまいます。
別にタイ人だけではありません。私たちもそうです。つい手もとに金が入ると、使ってしまいます。これでは、決して自分など見えません。自分がやりたいことなど生まれません。せいぜい消費社会の奴隷になって、物欲を満たすため金を求める、その程度でしょう。
社会に夢や希望がないのではありません。人間性を失い、欲望に反応するだけの動物になってしまった本人に夢や希望が生まれないのです。
小さな灯が灯ったら、それに集中し、大きくしてみましょう。
『こういう内容にすれば売れる』と計算された音楽のCDを買う前に、興味を持ったことを調べてみましょう。
窓の無い小部屋に入って、喉を枯らすほど歌いながら発狂する前に、その道の人から話を聞いてみましょう。
欲望を満たしたい気持ちは分かりますが、長い人生を考えた時、まず何をすべきなのか、その優先順位は明らかです。
夢のない人間ほどクダラない奴はいません。
それは、どんなに否定されようとも、本人が一番よく知っていることでしょう。
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