新学習指導要領の英語

CEFR

英検〇級はCEFRの〇レベルです!』なんて考えるな!

 CEFRが求めているのは、英語のマニアックな『言語知識』ではなく『コミュニケーション能力』です。英語を『詰め込む知識の対象』ではなく、他者とコミュニケーションを取るためのツール(道具)として判定します。そうなると、外国語の検定試験ごときで測れるようなレベルではないことが想像できるかと思います。

受験地獄世代

 実は、1970年代頃から「中学・高校・大学と英語を学習しているのに、一言も英会話が出来ないのはおかしい!」と言われてきました。そして、文部科学省が必死に改革を試みてきましたが、ほとんどといっていいほど、その成果はありませんでした。
 理由は簡単。文部科学省がいくら言っても、学校側が何もしなかったからです。ここでいう「何もしなかった」とは、英語コミュニケーション能力を身につけさせようとしてこなかった、という意味で使っています。実際、英会話ができる高校生が何人いますか?というお話です。
 中学・高校が何もしなかった理由は、別に学校の英語の先生たちがろくに英会話が出来ない(第二言語として英語を習得していない)というのではなく、「入試があるから」です。これは私たちが受けた英語教育も同様で、50年近く変わってこなかったようです。

教育研究情報データベース(学習指導要領の一覧) 

 「そんなのは入試に出ない」
 と言われ、
 「入試でスコア(点数)を取らせなきゃいけない」
 と言った具合に、中学・高校の英語の先生たちは、高校入試・大学入試で点数を取らせるための英語(の言語知識)を教えてきました。文部科学省(当時は文部省と言いました)がいくら学校側に要請、注文、指導しても、「入試がある以上無理だ」とか「保護者からの要望」とか言いながら、結果的に無視して来たのです。
 その結果、入試で点数を取らせるための授業をしてきたのです。

私の世代が受けた外国語教育(学習指導要領)
私の学校の先生たちは↑無視してました。

 確かに、それはそれで社会の要請に応えて来たのでしょうが、私個人は「中学・高校と6年間英語の授業を受けて来たのに、ろくな英会話が出来ないなんておかしい」と思います。

大学入試改革

 それでいい加減、文部科学省(政府)がブチ切れて(?)、
「だったら、最終ゴールの大学入試そのものを変えればいい」
 といった具合に、英語コミュニケーションを判定するとして『4技能』という話しを持ち出し、詰め込んだ言語知識を4技能で使うことを新学習指導要領に盛り込みました。そうすれば、これまで50年近く進まなかった改革が進むだろう、つまり、70年代から言われていた『中学・高校・大学と英語を学んでいるのに、ろくに英会話が出来ない』という状況を変えられるだろうと考えたようです。

私の世代が受けた外国語教育(学習指導要領)
くどいですが↑私の学校の先生たちは無視してました。

 始めは、大学入試センターが英語コミュニケーションを測定する試験を作ることになっていましたが、センターには無理だろうということで『外部試験の導入』となりました。これは文科大臣の失言からなくなってしまいましたが、潰した連中は自分たちの利害優先で若者の未来なんて考えていません。
 失言自体は極めて遺憾な内容でしたし、利益が『オトモダチ内閣』の一部の利権集団に行くというのも腹が立ちます。けど、本気で考えなければならない、最初に申し上げたとおり大卒の人間が第二言語を持たない国が世界のどこにあるのか、大げさに言うならこの国際化の時代『国家存亡』の危機ですので、この流れは止まらないでしょう。

今後の大学入試

 恐らく、政府や企業がアテにならないなら、大学が独自に試験を行っていくと思います、って、既に、東京都内の私立大学では、基礎学力を参考とし、独自の個別試験から英語を廃止、完全に外部試験を利用することにしました。明らかに『CEFR』判定を認識し、採用したのです。
 また、このサイトで話したCEFR①~⑦まで見てくればお分かりのとおりです。今後は、外部試験の参照だけにとどまらないでしょう。外部試験でのCEFR判定はあくまでも総合的な判定に過ぎません。これまでの説明どおりそれぞれの分野、カテゴリごとに細かく分かれ、それらを判定するための『能力記述文(Can-do)』が沢山用意されています。それらにもとづく判定なのです。
 よって、今後の大学の個別試験では『英語で面接』だけでなく『英語で面談』や『英語でディベート』なんて試験が主流となって行くでしょう、って、大学ではなく(大企業の)就職試験ではそれが普通になろうとしていますし、総合職の会議は全て英語で行うなんてのも企業もあります。多国籍企業、なんて言わずとも、そこそこ大きな会社では、海外とのつながりなしには成り立たなくなっているのです。

ろくに第二言語習得が出来ていない人の話しには耳を傾けないようにしましょう!有害なだけで悪影響しか受けません…って、泳げない人から泳ぎの話しを聞きますか?実際に釣をしたことのない人から釣の知識を聞きますか?

 

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