エントリーシートの書き方③

エントリーシートの書き方

項目別Ⅱ:未来に関する質問

  では、それらの冊子で求められる項目について見ていきましょう。

【本学に関心をもったのはどのような理由からですか?】 【この学科を志望した理由を記入して下さい。】 【本学およびこの学科を志望する理由・動機・きっかけ】

 これまで見てきた志望理由書と同じです。

【あなたは本学にどのようなことを求めていますか?】 【本大学の各学部が求める人物像と問いが巻末にあります。志望する学部の問いに対するあなたの考えを述べてください。】 【本大学の教育について、カリキュラムや教育システム、行事等、あなたが共感していることを、その理由とともに聞かせてください。】

 総合型選抜の出願書類に多く見られる項目です。
 一見、簡単そうに見えて結構難しい項目でもあります。なぜなら、総合型選抜の場合、各大学に『アドミッション・ポリシー』というのが用意されており、その基準を満たした学生を合格させるのがタテマエだからです。
 実際にあった話です。
 志望理由書に『○○学を研究したい』と書き、面接(面談)でこの点を突っ込まれました。受験生は『待ってました』とばかりにベラベラと自分の夢を語り始めました。ところが、散々、話を聞いた後で面接官が一言、『あなたの言う○○は本学では研究していません』と言いました。もちろん、この時点で不合格が決定しました。
 そうです。
 うかつにもベラベラとしゃべってしまったのです。志望校が求めていないことを。
 こうなっては目も当てられません。
 『あなたは本学に~』とは書いてあっても、面談では、大学側と受験生とお互い求めている共通点を探していきますので、基本中の基本として、志望校が求めている学生像を頭に叩き込んでおきましょう。
 その上で、あなたが大学に求めていることを書けばいいのです。

【入学後、学習面あるいは学習意外の分野で、取組みたい事柄やテーマはなんですか?】 【大学時代をどのように過ごしたいですか?箇条書きにして記入して下さい。】 【本学でどのような勉強をし、またいかなる能力を高めたいと思いますか。】 【入学後何を学びたいか、どのような学生生活をしたいか、将来の目標等。】 【本学の学生として、四年間、あなたはどのようなことにチャレンジしたいと考えていますか。また、社会人となるために、それがどのように役立つと考えますか?】

 これまたパンフレットをじっくりと読んで下さい。そして、志望校で行っているイベントや特殊カリキュラムに注目して見ましょう。○○留学や○○研修みたいなものをうりにしている大学もあります。そういうところでは、そんな企画に関心があり、参加してみたいなんて理由で大丈夫でしょう。
 まぁ、原則、皆さん自身が心の底から取り組んでみたいと思っていることを優先的に書いて下さい。
 ただし、注意が必要です。
 少し冷静に考えましょう。『在学中に夏休みなどを利用して自転車で日本一周がしたい』というような答えはどうでしょうか?
 もちろん、これで大丈夫です。しかし、もう一歩進んで考えるなら、この『自転車で日本一周』って、大学生じゃなければできないの?専門学校にだって夏休みはありますよ。
 そう。
 『青春を謳歌する爽やか青年』といった印象を与えることは出来ても、結局、箸にも棒にも引っかからない『奴』を演出するだけでしょう。
 他に条件(例えば評定平均など)が満たされているのでしたらこれでも結構ですが、もしそれが期待できないような場合で、しかも、勝負を賭けなければならないようなら、もう少しひねった方がいいでしょう。
 大学生(その学部の学生)という立場でしか出来ないことを考えてみましょう。

【本学で学んだ後、将来、どのようなことを目指しますか】 【将来(大学卒業後)、どのような職業に就きたいか、あるいはビジネスを展開したいと考えていますか。そのために、大学時代になすべきことは何だと思いますか。】 【将来の生き方や就きたい職業について記入して下さい。】

 私が授業で話すのは、大学で真面目に勉強すれば、将来、その職業になるべき人間に成長できるということです。
 例えば、私が“最初に”学んだのは教育学ではなく法学でした。法律です。別に弁護士になりたいってわけではなかったのですが、社会科学系、法律、政治に興味があったからです。けど、実際に法律を学んでみると、正義の女神テーミスにひざまづきたくなります(笑)。そして、死刑反対を叫びたくなります。
 法律を学ぶと、そういう人間になるんですね。
 また、教育学を学ぶと、本当に中身が“先生”になってしまいます。教育学を学ぶと、世の中の教師たちが如何に腐りきってるか、生徒にセクハラをしたり児童買春をするような教師が如何に狂ってるか、心底、怒りを覚えるようになります。
 法学部を卒業して死刑を口にしたり、教育学部を卒業して生徒にセクハラしたり、これらのふまじめな大人たちは、大学の学問をおろそかにして、おろそかなまま卒業した大人たちであることが分ります。
 …って、法学や教育学を持ち出すまでもなく、仏文科を卒業してフランス語が話せないのって、どう考えてもおかしいですよね(笑)。
 そうです。
 何も、専門知識を学んだらその道へ進まなければならないということはありません。
 農学部を卒業したとしましょう。だからと言って、別に農業に従事しなければならないことはありません。食品加工会社に就職するのだって大学で学んだ知識は大いに役に立ちます。いや、新聞記者だって、車のセールスマンにだって、農業の知識、環境問題の知識が大いに役に立ちます。
 将来、社会へ出た時、様々な問題に対するでしょう。それらの問題は正解が用意されているとは限りません。正解の存在しない問題の方が遥かに多いのです。その正解のない問題を解決していかなければなりません。
 大学を卒業するということは、それらの問題に対する時の考える“枠組み”をつくるところなのです。
 皆さんが大学で学び、物事を考える枠組みをつくり、将来、どのような大人として社会と関わっていくのか、それを考え、書いてみましょう。

 

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